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  5. 1.ジャワしょうがとは
  6. ③自然と共存した栽培【栽培風景動画付き】

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機能性天然食品素材

1.ジャワしょうがとは

③自然と共存した栽培【栽培風景動画付き】

ジャワしょうがの栽培 ④自然と共存した栽培(natural farming))

1.メリンジョとは ⑥アグロフォレストリーによるメリンジョの栽培のページでも記載していますが、当社はジャワしょうがでも自然の枠組みの中で栽培するアグロフォレストリー(Agroforestry)※1の考え方に沿って栽培しています。そのため、ジャワしょうがの栽培には農薬は一切使用しないようにしており、肥料は使う場合でも鶏糞のみです。ジャワしょうがの場合、他の植物も共生している畑の様子を見ていただくと、日本で言われている自然農法に近いスタイルだと感じて頂けるのではないでしょうか。下記に掲載した画像や動画を見ると、ジャワしょうが以外の草や木も混在しているのがよくわかると思います。

当社はインドネシア・ジャワ島の各地で試験栽培も含めて数か所でジャワしょうがの契約栽培をしています。中には森の中に畝を作り、栽培している地域もあります。ジャワしょうがは、現地の通常の栽培では1年では根が伸びるばかりで必要な根茎は十分なサイズまで育たず、2年かけてやっと適当なサイズまで成長してくれます。

また、インドネシアは赤道直下のため日本のように四季の移り変わりはないのですが、乾季(4月~9月)と雨季(10月~3月)があります。雨季にジャワしょうがの根茎から芽が出てどんどんと伸びて葉を出し、2m程度の高さまで成長します。乾季になると葉が枯れ始めて、どこにジャワしょうがが埋まっているのかもわからなくなります。

ジャワしょうがのエキス製造は2013年から始めていますが、今でも栽培に適切な土地を探すために、東ジャワから西ジャワまで幅広く農家に相談しながら契約栽培をしています。上の写真はある村でのジャワしょうがの栽培風景ですが、このように林の中で栽培することもあります。契約栽培といっても画一的な栽培ではなく、その地域の地形なども活用し自然と共生しながら栽培しています。

TrawasのKetapan Rame農園


当社が契約栽培をお願いしている農園のひとつに東ジャワTrawasのKetapan Rame農園があります。Ketapan Rame農園は山のふもとの広大な敷地の中にあるので急な斜面も多く、多様性に富んだ植物が自生しています。その中でジャワしょうが以外にも多くの植物を育てています。また、農園内には有機認証を得ているエリアもあり、当社もジャワしょうがを始め様々な植物の栽培をトライしています。そのため何度も訪問しては農家の方々と意見交換をしているため、お互いに言葉はあまり通じませんが、笑顔やジェスチャーを駆使して心のコミュニケーションを深めてきました。鳥の鳴き声が響く大自然で育つジャワしょうがをご覧ください。

ジャワしょうがの栽培風景 ③自然と共存した栽培

急斜面な場所に植えるジャワしょうが Trawas Ketapan Rame農園にて

上記の画像は動画でもご紹介したTrawasのKetapan Rame農園において、種しょうがを植えている作業時のものです。急な斜面に沿って植えるためひとつずつ手で植えるしかないのですが、そのため動画で見られるような広大な風景の中で生長するジャワしょうがを栽培することができます。このような環境でも笑顔で栽培してくれる農家の方々の苦労に報いるためにも、ジャワしょうがをもっと多くの方に知ってもらえるよう、現地農家の協力を得ながら当社も努めてまいります。

LembangのRendy農園


ジャワ島の他の地域にも契約栽培をお願いしていますが、その中のひとつに西ジャワLembangのRendy農園があります。Lembangはお茶の産地としてきれいな段々畑が有名な地域であり、当社の第2工場の位置するBandungの中心部から北部に車で1時間程度の距離に広がる街です。下記の栽培風景は2022年4月下旬時点のものですが、乾季が始まっているため葉が緑色から黄色に変化し枯れ始めたところです。獲れたてのジャワしょうがは、色も濃くて香りがとても強いです。新鮮な植物の収穫というのは、自然の雄大さ・威厳さをより強く感じることができる、とても贅沢な瞬間ですね。畑を訪問し農家の方々と情報交換が容易な現地スタッフが少しうらやましいところです。

Lembangでのバングレ栽培風景1 ③自然と共存した栽培

乾季で葉が枯れ始めたジャワしょうが畑、他の植物も生い茂っています Lembang Rendy農園にて

Lembangでのバングレ栽培風景2 ③自然と共存した栽培
Lembangでのバングレ栽培風景3 ③自然と共存した栽培

獲れたての新鮮なジャワしょうが Lembang Rendy農園にて

下記の動画は同時期である2022年4月下旬時点におけるRendy農園の栽培風景です。試しにジャワしょうが(バングレ)を掘り起こし、サイズや色、風味を確認してみました。農家の方に聞くとちょっと収穫には早かったですが、もっと葉茎が枯れると本格的な収穫時期になるという話でした。日本語の字幕をONにしてご覧ください。

ジャワしょうがの収穫 Lembang Rendy農園にて


2022年4月下旬にRendy農園を訪問しジャワしょうがの生育状態をチェックしましたが、その際に農家の方と収穫時期について打ち合わせをしてきました。そしてついに同年8月下旬に本格的な収穫を迎えました。このRendy農園で迎える初めてのジャワしょうが収穫です。乾季に入って約5か月、雨季には青々と茂っていたジャワしょうがの葉は見る影もなくなり、地上部に生えていた茎(正確には偽茎)もすっかりと茶色くなり棒状の残骸だけが残っているという何とも無残な外観になっていますが、これがジャワしょうがの収穫時期の証です。

ジャワしょうがの収穫風景① Lembangにて
ジャワしょうがの収穫風景④ Lembangにて

ジャワしょうがの収穫を迎えたLembang Rendy農園にて

枯れ果てた偽茎の根元には、土とのコントラストで目にまぶしいほど黄色に輝くジャワしょうがの根茎が埋まっています。農家のご主人がひとつひとつクワで丁寧に掘り起こして収穫していきます。土から掘り起こしたばかりの状態では細かい根が多くてわかりにくいですが、太くりっぱな根茎がゴロゴロと沢山出てきました。これを女性陣がきれいに整えていき、出荷スタンバイの状態になります。

ジャワしょうがの収穫風景② Lembangにて
ジャワしょうがの収穫風景③ Lembangにて

収穫されたジャワしょうがの出荷準備の様子 Lembang Rendy農園にて

実際に収穫している様子を動画でもご紹介致します。4月下旬の頃に比べて4か月も乾季が続いていますので、畑の様子はかなり違っています。その間に根茎は太く大きく、そして香り高く生長してくれました。

自然との共存を図り、接続可能な農業による栽培を目指す


近代農業は増加を続ける人口の需要に対応するために、化学肥料としてカリウム、リンそして窒素を大量に使用していますが、その過剰使用によって水質汚染・土壌の劣化・生物多様性の劣化など環境負荷が高くなります。将来的にはこれら化学肥料の枯渇も問題になるはずです。これは、接続的な営みが望まれるSDGsの重要性が広く知られている現代では、決して望ましい姿ではないはずです。わが国では農林水産省が先頭に立って「環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律(みどりの食料システム法)」※2を2022年7月1日に施行し、環境負荷の低減を図っていくことを目指しています。

ジャワしょうが畑では他の植物も群生しています

アメリカでは、1990年代には不耕起栽培を実践している農家がすでに一定数存在していたようで、そこからさらに進んだリジェネラティブ(環境再生型)農法(regenerative agriculture)と呼ばれる環境を意識した農法が確立されています。書籍「土を育てる 自然をよみがえらせる土壌革命(原題:Dirt to Soil)」※3の中では、アメリカの農家が苦労して慣行農法からリジェネラティブ農法へ移行していく様が書かれていますが、筆者であるゲイブ・ブラウン氏は以下の5つの原則(のちに6原則に修正)の重要性を説いています。

第1の原則 土をかき乱さない
第2の原則 土を覆う
第3の原則 多様性を高める
第4の原則 土の中に「生きた根」を保つ
第5の原則 動物を組み込む
第6の原則 背景の原則

今では様々な世界的企業・団体が立ち上げたリジェネラティブ・オーガニック・アライアンス(ROA)※4が米国を中心にこの環境再生型農法の認知拡大を目指し、認証制度を設けています。

インドネシア農家の裏庭で暮らす家畜

インドネシア農家の裏庭で暮らす家畜

これらはいずれも、慣行農法に何らかの違和感があると考え、自然を敵と捉えるのではなく、むしろ自然の中にうまく溶け込むような、自然に寄り添う形を目指した結果なのだと思います。その結果、環境を破壊することなく、生物多様性にも富んだ農業が実践できるようになり、さらに地球温暖化の防止にも寄与していくのだと感じます。

農水省も「環境保全型農業の推進」という形で自然循環機能の維持増進※5を掲げており、2022年4月に発表した農地土壌をめぐる事情※6では、土づくりの重要性を解説しています。日本は化学肥料にしても農薬にしても、年々その使用量は単位面積当たりでは減少してきていますが、諸外国に比べるとまだまだ高水準の使用となっています※5。

ジャワしょうが畑では農薬は使用しません

ジャワしょうがの畑では農薬は一切使用していません。

上述した「土を育てる 自然をよみがえらせる土壌革命」※3でも書かれていますが、確かにふと考えれば農業で育てる植物は、空気中の炭素(CO2)を吸収し、大気中に酸素(O2)を供給していますので、この機能を有効に活用すれば土壌を豊かにするのみでなく、温暖化対策のひとつにもなります。カバークロップ(畑で土をむき出しにするのではなく、植物で常に土壌を覆うために育てる植物であり、収穫用ではない植物の場合もある)などは当社がお世話になっているインドネシアの農家でも推進することで農家のメリットも出てくるのではと思います。

当社はインドネシアの農家とダイレクトにコミュニケーションを取れる関係を構築してきましたので、さらなる取り組みとして畑のキャパシティを越えない範囲で環境を破壊しない現地なりの持続型農業のスタイルを目指しつつ同時に生産性のアップを目指して、農家と意見交換を続けていきたいと思います。