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5.胆汁酸とグネチンC

①胆汁酸とは

胆汁酸の構造式 5.胆汁酸とグネチンC

現代における生活習慣病において、悪者代表のように扱われるコレステロールですが、体内では細胞膜の構成成分であり、脳・肝臓などに多く含まれる大切な脂質成分です。しかし、過剰になると、内臓脂肪や悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の上昇につながり、動脈硬化などの生活習慣病に至りますので、運動や食事でコントロールするというのが今では常識になっています。

実は胆汁酸は、このコレステロールを原料として肝臓で産生される胆汁の主要成分となります。出来上がった胆汁は肝臓から胆管を通って胆のうに保管されて、そこで濃縮されます。食事などの刺激によって十二指腸に排出され、脂質と結びついて小腸にて脂質の吸収を促進する作用があります。3.グネチンCの吸収と代謝 ④体内での滞留時間が長いグネチンCでもご紹介しましたが、十二指腸に排出された胆汁酸の95%程度は肝臓に戻っており、腸肝循環と呼ばれている仕組みも存在しています。その他にも胆汁酸はサイトカインのように情報伝達も担うことが近年明らかになりつつあります。

情報伝達としての胆汁酸の役割 5.胆汁酸とグネチンC

胆汁酸は大きく3つの経路によってさまざまな情報を統制しています。一つ目は、核内受容体FXRと結合し活性化するリガンド(特定の受容体と結合する物質)としての情報伝達です。これにより、SREBP-1C遺伝子を抑制することで、その川下に位置する脂肪合成遺伝子の発現を抑制し、最終的にはトリグリセリド(TG)合成の抑制、血中への超低密度リポたんぱく質(VLDL)の分泌を低下させます※1。

二つ目は、Gたんぱく質共役型受容体TGR5/M-BARと結合し、活性化するリガンドとしてです。1次胆汁酸であるケノデオキシコール酸(CDCA)を12名の健常女性に2日間投与したところ、褐色脂肪組織(BAT)の活性が増加しました※2。これはCDCAがTGR5/M-BARと結合することで褐色脂肪細胞が活性化し、その結果、褐色脂肪細胞内のミトコンドリアに存在するたんぱく質のUCP1とD2の発現が増加し、熱産生も増加、つまり代謝を上げることになります。

※1 J. Clin. Invest.  113, (10) 1408-1418 (2004)
※2 Cell metab.  22, 418-426 (2015)