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4.ニューロン新生とバングレン

①記憶を司る海馬でニューロンを新生

記憶を司る海馬でニューロンを新生

脳は大脳や小脳といった組織に分かれますが、大脳の内側に海馬(hippocampus)と呼ばれる組織があります。海馬は記憶の司令塔とも呼ばれる大事な組織で、短期的な記憶(エピソード記憶)を一時的に保存して、その後に大脳皮質の側頭葉と呼ばれる組織に移されて長期記憶として保存されると言われています※1。この海馬になんらかのトラブルが発生すると、一時的に記憶を保存することにも影響し、記憶に障害が出る可能性が出てきます。

認知症はアルツハイマー型認知症(Alzheimer’s disease)、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症が4大認知症と呼ばれており、最も患者数の多いアルツハイマー病では、記憶障害を代表とする中核症状と、徘徊などの周辺症状といった2種類の症状がみられます。このアルツハイマー病では、脳の萎縮が発生すると言われますが、記憶にとって重要な組織である海馬から萎縮が始まるとされています※2。

ニューロン新生説の確立


長い間、ニューロンは老化と共にその数を減らしていくと考えらえてきましたが、ニューロンが新しく生まれるという事実は比較的近年に見出されてきました。その歴史的背景が、スタンフォード大学教授で神経内分泌学者・行動生物学者でありストレスと神経変性の研究をしているロバート・M・サポルスキーの書籍「善と悪の生物学 何がヒトを動かしているのか(原題:Behave -The Biology of Humans at our best and worst-)」に記載されています。

長年にわたりニューロンの数は出生時が最大であり、加齢に伴い減少していくと考えられていました。この常識に対して1965年、当時マサチューセッツ工科大学(MIT)の准教授であったジョセフ・アルトマンがラット成体を用いた試験においてニューロン新生を始めて発見しました。ところがこの研究成果はこの分野のリーダーに否定され、しばらく注目されることがありませんでした。その後、マイケル・カプランが新しい手法でアルトマンの研究を再評価するも、パシュコ・ラキッチという著名な研究者に否定され再び暗黒の時代を迎えました。

ニューロン ③落選した素材 ”ジャワしょうが”

今度はロックフェラー大学のフェルナンド・ノッテボームが、縄張りに関するさえずりを学習する鳥の脳で新しいニューロンが新生されることを見出しました。その事実を確かなものにするように、哺乳類においてプリンストン大学のエリザベス・グールドとソーク研究所のフレッド・ラスティ・ゲージなどによってニューロンが新生されていることが証明されていきました※3。

こうして2000年前後には様々な研究成果により、海馬ではニューロン新生が行われており、毎月約3%のニューロンが入れ替わっていること、ヒト成人でもニューロンが新生していることが、新しい“常識”となっていきました。ニューロン新生は学習、抗うつ剤、環境改善、脳損傷などによって増進し、様々なストレス要因によって抑制されていると言われています。具体的な例としては、空間認知地図の記憶に役割を果たす海馬後部に関する事例として、ロンドンのタクシードライバーでは、海馬のそれに対する部位が拡大していたというものがあります。また、うつ病や不安障害はBDNF(脳由来神経栄養因子)の量を減らすことで海馬ニューロンの樹状突起スパイン(神経伝達物質を受けとるシナプス後部)を減らすと考えられています※3。ゲージ博士は著名な学術誌Scienceにて、「成人期の神経新生は、自己の概念、記憶、神経変性疾患の発症に影響を与える」と言っています※4。神経新生とは新しい研究分野であり、かつアルツハイマー病などの神経変性疾患における非常に大事なキーワードになります。

ジャワしょうが由来成分であるバングレンは、海馬においてニューロン(脳神経細胞)の新生を促すことがin vivo試験およびヒト神経幹細胞やPC12細胞を用いたin vitro試験などで明らかになっています。

東南アジアに自生するジャワしょうが

※1 Science 356, 6333, 73-78 (2017)
※2 徳島市医師会
※3 善と悪の生物学 何がヒトを動かしているのか NHK出版
※4 Science 364, 6443, 827-828 (2019)

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作成日:2021年8月8日
更新日:2024年2月19日