4.ニューロン新生とバングレン ②バングレンのニューロン伸展効果 バングレンにはニューロンを伸展させる効果があることが、PC12細胞やヒト神経幹細胞を用いたin vitro試験で明らかになっています。ヒト神経幹細胞を用いた試験では、神経細胞への分化を促す効果がありました。以前は大人の脳では神経は新しく作られないと考えられていましたが、今では大人の脳においても神経幹細胞が存在し神経細胞を作り出していることが明らかになっています。加齢や神経疾患などにより神経細胞の新生が減少するため※1、ジャワしょうが由来成分であるバングレンの神経細胞新生作用は非常に有望な成果と考えられます。 PC12細胞を用いた試験では、cis-バングレンは30μM、trans-バングレンは10μMおよび30μMにて神経形成が有意に増加しました。神経突起についてもcis体、trans体ともに0.03μMで有意に伸長し、その数は0.3μMで有意に増加しました※2。他のin vitro試験でも、trans-バングレンはNGF(nerve growth factor)非存在下にて30μMで神経突起を伸長させました※3。ジャワしょうがエキスを用いた試験でも25μg/mL濃度で顕著な伸長を示しました※4。 ヒト神経幹細胞を用いたin vitro試験では、ジャワしょうがエキス10ng/mL、cis-およびtrans-バングレンは1μMにて有意に伸長を促しました※5。 引用論文:Int. J. Mol. Sci. 21, 4772(2020) 現在日本では、65歳以上の認知症の患者数は600万人(2020年現在)と言われており、2025年には700万人まで拡大すると予測されています。また、認知症に至る前の段階で、軽度認知障害(mild cognitive impairment :MCI)と呼ばれる状態があり、健常人と認知症の間の状態となります。MCIの方の約50%は5年以内に認知症に移行すると言われているため※6、普段の生活から予防的な意識を持つことが必要とされています。 ※1 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門 脳機能調節因子研究グループ ※2 Neuroscience Letters 513, 72–77 (2012) ※3 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 25, (7) 1586-1591 (2015) ※4 Journal of Medicinal Food 19, (5) 435-441 (2016) ※5 Int. J. Mol. Sci. 21, 4772(2020) ※6 厚生労働省 みんなのメンタルヘルス << 前へ 次へ >> 作成日:2021年8月8日 更新日:2022年9月27日