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機能性天然食品素材

14.尿酸とグネチンC

①尿酸値と痛風の関係

痛風

皆さんが受診する健康診断でも見たことがある項目「尿酸値」、これは文字通り血中(正確には血清中)にどれだけ尿酸(uric acid)が含まれているかを表す数値ですが、この数値が高すぎると様々なリスクが高くなります。具体的には尿酸値が7.0㎎/dL未満であれば問題ない数値となりますが、この数値が7.0㎎/dL以上となると高尿酸血症とされ※1、予防的に薬を服用する場合もあります。例えば足の親指の関節部に痛みなどの症状が出てくると、いわゆる痛風(Gout)となります。

近年では機能性表示食品としても「高めの尿酸値を下げる」と訴求したサプリや一般食品が受理されているため、スーパーで買い物をする際でも目にする機会は増えてきたと思います。尿酸値で悩むのはほとんどが男性ですが、尿酸値に影響する食べ物に注意しながら買い物をする方も多いかと思います。

痛風(炎症性関節炎)

尿酸とは、体内である成分が形を変えて最終的にたどり着いた成分です。そのスタートとなる成分がプリン体です。プリン体とは、プリン(分子式C5N4H4)を骨格とした成分の総称であり、そのプリン骨格にアミノ基(NH2)が結合した成分がアデニン(Adenine)、グアニン(Guanine)となり、これらはプリン体の1種になります。高校生物の授業で聞いたことがある成分だと思いますが、アデニンおよびグアニンはDNAの構成成分ですね。プリン骨格を持たないチミン(Thymine)、シトシン(Cytosine)と共にDNAの構成成分になります。

このATGCなどが五炭糖のD-リボースなどと結合したものがヌクレオシド(nucleoside)、このヌクレオシドがリン酸と結合したものがヌクレオチド(nucleotide)となり、さらにこれらヌクレオチドがいくつもつながっていくことでDNAやRNAとなります。ちなみにアデニンにリボースと3分子のリン酸が結合するとアデノシン三リン酸(ATP)と言われる、主にミトコンドリアで生成され、生体内で利用されるエネルギーを産み出す成分となります。

アデニン+リボース    ⇒アデノシン(ヌクレオシド)
アデノシン+リン酸    ⇒アデノシン一リン酸:AMP(ヌクレオチド)
アデノシン+リン酸×3     ⇒アデノシン三リン酸:ATP(ヌクレオチド)

DNAヌクレオチド

食事(プリン体の摂取)や体内の新陳代謝により、成人男性で1日当たり700~800㎎の尿酸が体内に流入し、同量が体外に排出(尿として約2/3、消化管から約1/3)されることで均衡を維持しており、体内には1200㎎の尿酸がプールされています※3。

また、国内の高尿酸血症の患者数は推定で1000万人超とされており、30~40代の男性の3割が高尿酸血症と言われています※4。尿酸は腎臓において糸球体(glomerulus)でろ過されて尿細管に運ばれますが、この時に尿酸トランスポーターを経由して運ばれます。実はこの尿酸トランスポーターが尿から血中に尿酸を再吸収することもあり、その代表がURAT1/SLC22A12とGLUT9/SLC2A9となります。排出の主要なトランスポーターとしては、ABCG2です。再吸収トランスポーターの2つは腎臓に主に発現していますが、排出トランスポーターであるABCG2は腎臓に加えて腸管にも発現しており、尿と腸のふたつの経路で尿酸を排出するとされています※3。

体内に不要な成分をろ過し体外に排出する機能を持つ腎臓の働きが低下すると、不要な成分が体内に溜まるため慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)になり人工透析が必要となります。これは定期的な通院が必要となり生活の質(QOL)の低下に直結してしまいます。透析患者においては腎臓の機能が低下していますので、尿酸の排出に関しては尿としての排出はできない代わりに腸からの排出で補うことになります。

食事、腎臓、痛風

透析患者の腸からの尿酸排出(ABCG2トランスポーター)に着目した研究では、ABCG2に障害があると高尿酸血症が促進されました。また腎機能の低下が腸におけるABCG2の発現を促し、尿酸産生量の60%までを排出すると予測されています※5。尿酸の排出は腸経由が1/3と言われていますので、尿としての排出ができなくなった場合は腸からの排出量を従来の2倍弱程度まで増加させられる可能性があることが示されています。

また日本人8,144人のデータを用いた分析では、男女ともに尿酸値が高いほどメタボリックシンドロームを発症しており、メタボの症状がみられない男性では尿酸は頸動脈硬化症(carotid atherosclerosis)のリスク要因となっていました※6。

なお老廃物を排出する機能をもつ腎臓の機能低下により、尿蛋白が検出されることがあります。慢性腎臓病の診断に必要な項目として糸球体ろ過量(GFR:Glomerular Filtration Rate)がありますが、これに血液検査で測定される血清クレアチニン値を用いてGFRを推定する推算糸球体ろ過量(eGFR)も重要な項目となります※7。これらは健康診断でチェックしている項目ばかりですので、健康診断で高い尿酸値となっている方はこれらの数値も確認して頂き、生活習慣を改善した方が間違いないです。

体内での滞留時間が長いグネチンC 3.グネチンCの吸収と代謝

※1 公益財団法人 長寿科学振興財団
※2 厚生労働省 e-ヘルスネット
※3 ファルマシア 57, (10), 907-911 (2021)
※4 一般社団法人 日本生活習慣予防協会
※5 Scientific Reports 13, 93 (2023)
※6 Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology 25, 1038-1044 (2005)
※7 厚生労働省 e-ヘルスネット

作成日:2024年3月13日