②メリンジョの尿酸値低下効果
ヒト試験で尿酸値低下が明らかに
メリンジョの摂取により尿酸値の低減が確認されたヒト試験は4報あります。日本人男性29名(年齢中央値45.1歳、BMI24.4)にメリンジョ種子エキス750㎎/日を8週間摂取したダブルブラインド試験を実施したところ、血清尿酸値がプラセボ群に対して有意に低下しました※1。次に、グネチンCを単体で摂取(健常人12名、年齢中央値29歳、BMI18、摂取量150㎎/日、摂取期間14日間)したヒト試験では、プラセボ群に対して血清尿酸値は有意に低下しました※2。
3報目のヒト試験では、血清尿酸値が6.0~6.9mg/dLの日本人男性を対象としてダブルブラインド試験および7.0~7.9mg/dLの日本人男性を対象としたオープン試験を実施したところ(20~80歳、摂取量100~300㎎/日、12週間)、摂取量に関係なくプラセボ群に対して有意な低下はみられませんでした。ただし、血清尿酸値7.0~7.9mg/dLでメリンジョ種子エキス300㎎/日摂取したオープン試験では、血中の総グネチンC濃度が200ng/mL以上の被験者グループにおいては有意に血清尿酸値の低下がみられました※3。
最後に、日本人を対象にしたダブルブラインド試験では(健常人57名、20~65歳の男女、BMI23~30、中性脂肪(TG)200㎎/dL未満、摂取量375または750㎎/日、12週間)、血清尿酸値が高め(5.5~7.0mg/dL)の方において、プラセボに対して有意に血清尿酸値が減少しました※4。
作用機序 腸管からの尿酸排出促進
血清尿酸値を低減させる方法としては、主に以下のような手段が考えられます。
・尿酸の合成を抑制(合成酵素阻害)する(代表的な薬:アロプリノール、フェブキソスタット)
・尿酸の再吸収を抑制する(代表的な薬:ベンズブロマロン、プロベネシド)
・尿酸の排出を促進する
様々な薬がありますが、どうしても副作用のリスクなどは0にはなりません。また排出を促進する手段として、腎臓から尿としての排出ではなく、腸管から糞として排出する手段はあまり取られていません。前ページの①尿酸値と痛風の関係にも記載しましたが、腎機能不全に伴う代替手段としても腸管経由での尿酸排出については非常に注目されています。その腸管からの排出に関しては小腸におけるABCG2トランスポーター活性化の有力なターゲットとして、PPARα、PPARγ、Nrf2、AhRが注目されています※5。
メリンジョ種子エキスは、PPARγのアゴニスト活性をコントロールに対して有意に増加させます※1。(アゴニストとは生体内で受容体に結合し、情報伝達を担うことができる物質のことになります。薬でいうと「作動薬」になります。)また、9.抗酸化とグネチンC ③抗酸化遺伝子Nrf2の活性化による歯周病抑制効果に詳しく記載していますが、メリンジョはNrf2を活性化させます。これらのデータより、メリンジョは尿酸値の低下を誘導することが考えられます。
さらにメリンジョの尿酸値低下の作用機序に関する動物試験の論文もあります。オキソニン酸含有の餌を与えた高尿酸血症モデルラットにメリンジョ種子エキスを摂取(300㎎/kg/日)させたところ、血清尿酸値が有意に低下しました。同時に体外に排出された尿酸についても分析したところ、尿中の尿酸値は変化が見られませんでしたが、糞中の尿酸値は有意に増加していました。つまり、腎臓から尿として排出したのではなく、腸管から糞と一緒に排出していたのです。実際に回腸(小腸の一部で大腸につながる部位)においてABCG2トランスポーターが活性化していました※6。
メリンジョは既存の薬とは異なる作用機序で、尿酸値の低減に貢献することができます。
※1 Evidence-Based Comp. & Alt. Medi. ID:589169 (2013)
※2 Nutrients 11, 1403 (2019)
※3 Gout and Uric & Nucleic Acids 45, (1) 31-39 (2021)
※4 Jpn. Pharmacol. Ther. 51,(6) 921-928 (2023)
※5 Asian Journal of Pharmaceutical Sciences 15, (2), 173-180 (2020)
※6 Journal of Functional Foods 87, 104849 (2021)