3.バングレンの吸収・代謝 ②血液脳関門を通過し、脳内へ移動 マウスにtrans-バングレンとcis-バングレンを50㎎/kgで経口投与し、腸から吸収されて血中と脳へ移行しているかを調べてみると、投与後30分後には血中に移行し、その後に脳にもバングレンが移行していました※1。これは、バングレンが血液脳関門(blood-brain barrier:BBB)を通過するということを意味しています。 血液脳関門とは、血液から脳への成分が移行するのを制限するシステムです。基本的には脳に必要な栄養素としてグルコースやアミノ酸などが通過できるようになっています※2。脳はその70%が脂質で残りの30%がたんぱく質となっており※3、一般的に体全体でみると水分が70%と言われる事実と比べると、水分がほぼなく大部分が脂質という非常に特異的な器官といえます。その大事な器官である脳に関係ない物質が入り込まないように、血液脳関門は存在しています。 ※1 Neuroscience Letters 513, 72–77 (2012) ※2 日本救急医学会 ※3 脳 -分子・遺伝子・生理- 裳華房 << 前へ 作成日:2021年8月8日