8.筋肉とバングレン ③バングレンのマイオカイン産生増加効果 マイオカイン(myokine)とは、筋肉から産生されるサイトカインのことです。マイオカインの一つであるインターロイキン6(IL-6)は運動すると骨格筋から産生され、血中濃度は100倍になることもあります。脂肪酸のβ酸化やグルコースの取り込みを促進させ、肝臓でのグルコース産生や脂肪組織での脂肪分解を増加させる機能があります※1。 ジャワしょうが由来成分であるバングレンには、骨格筋においてIL-6を増加させる効果があります。cis-バングレンをマウス由来骨格筋細胞であるC2C12細胞に添加してIL-6のmRNA量およびIL-6濃度を測定したところ、cis-バングレンの添加量に比例して、IL-6 mRNA量およびIL-6濃度が有意に増加しました。同時にC2C12細胞へのグルコースの取り込み量を測定したところ、cis-バングレンの添加量に比例してグルコース取り込み量は有意に増加しました※2。 IL-6というと、昔から炎症性サイトカインとして知られており、あまりよくない物質と言うイメージが強いと思います。以前は、激しい運動により骨格筋が炎症をおこすことで免疫細胞から分泌され、血液中に上昇すると考えられていましたが※3、様々な研究データがマイオカインとしての機能性を証明することとなりました。分泌されるタイミングおよび場所(組織や細胞)によっては異なる機能も持っていることが明らかになったのです。 近年は筋肉量の調節を担っていると注目されている成分として、ミオスタチン(myostatin(Growth Differentiation Factor-8:GDF-8))というマイオカインがあります。骨格筋特異的に作用し、筋肉増加を抑制する作用があります※3。肉厚の魚などの例でもよく耳にするマイオカインとしても有名です。これらマイオカインに関するカテゴリーは、今後ますます注目される研究分野になります。 ※1 Physiological Review 88, 4, 1379–1406 (2008) ※2 Journal of Functional Foods 64, 103632 (2020) ※3 YAKUGAKU ZASSHI 138, 1285-1290 (2018) << 前へ 次へ >> 作成日:2021年9月8日