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ヘルスケア

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7.免疫とグネチンC

③メリンジョによるTreg細胞の増加

メリンジョエキスによるTreg細胞の増加イメージ図 7.免疫とグネチンC

制御性T細胞(Treg細胞)とはT細胞の1種で、免疫の暴走を調節する機能を担っています。造血幹細胞からT細胞の前駆細胞に分化し、胸腺(Thymus)でヘルパーT細胞、細胞障害性(キラー)T細胞、Treg細胞の3種に分化・成熟します。実はこのTreg細胞は、日本の研究者である坂口志文先生(現:大阪大学免疫フロンティア研究センター教授)によって1995年に明らかにされたノーベル賞級の発見と言われています。

Treg細胞は、ヘルパーT細胞が産生して免疫を活性化するサイトカインであるインターロイキン2(IL2)と結合することで免疫反応を抑制します。また同時に免疫を抑制するサイトカインを産生します。いわゆる免疫の暴走を抑制する働きがあり、自己免疫疾患である関節リウマチ、花粉症、1型糖尿病、炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)、IBDの1種である潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)などといった炎症性疾患に関連する重要なキーとなっているのがTreg細胞です。

メリンジョには、Treg細胞を増加させる効果があることが明らかになっています。健康な男女5人にグネチンC相当量で262㎎/日のメリンジョエキスを28日間摂取すると、摂取前後でTreg細胞が有意に増加しました※1。

メリンジョ(Melinjo)

Treg細胞の産生には、腸内細菌が重要になってきます。6.腸内細菌とグネチンC ③腸内細菌の代謝物「酪酸」でも少し触れましたが、健常人の便を無菌マウスに投与し、Treg細胞を強く誘導する菌種を絞り込んでいったところ、クロストリジウム属(Clostridium)の17菌種が明らかになりました。これら17種はクロストリジウム属菌のサブグループXIV、XVIII、IVに属していました※2。

これらクロストリジウム属の17菌種の代謝産物である短鎖脂肪酸のTreg細胞への誘導活性を調べたところ、酪酸に強い活性がありました。酪酸にはヒストンの脱アセチル化酵素の阻害作用があります。そのためヒストンのアセチル化が促進され、DNAの発現が進みます。未成熟なT細胞がTreg細胞へ分化するために必要なFoxp3遺伝子領域のヒストンがアセチル化されて、Foxp3遺伝子が活性化された結果、Treg細胞へと分化するためです。大腸炎を起こしたマウスに酪酸を与えるとTreg細胞が増加し、炎症が抑えられました※3。酪酸は、食物繊維をエサとして腸内細菌が作り出す代謝産物で、プロピオン酸や酢酸と同じ短鎖脂肪酸のひとつになります。

メリンジョによるTreg細胞の増加については詳しいメカニズムはまだ解明できていませんが、腸内細菌を整えることで酪酸産生菌が増えているのかもしれません。今後の研究が楽しみです。

メリンジョによるTreg細胞の増加(アーミッシュ) 7.免疫とグネチンC

また、北米で暮らすアーミッシュの方々は、今でも農耕や牧畜が盛んで自給自足の生活を維持していますが、アレルギーの方がほとんどいないことがわかっています。調査したところ、アレルギー反応に抵抗性のある遺伝子は見つかっておらず、幼少期から家畜と触れ合う生活スタイルが関係しているのではと考えられています※4。腸内細菌との関連性も含めて、今後の研究で因果関係が明らかになるかもしれません。

※1 Integr. Mol. Med. 2, (6) 405-413 (2015)
※2 Nature 500, 232-236 (2013)
※3 Nature 504, 446-450 (2013)
※4 消化管(おなか)は泣いています ダイヤモンド・ビジネス企画

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作成日:2021年8月19日