8.筋肉とバングレン ⑤ジャワしょうがの抗炎症効果 高脂肪食の摂取により、慢性の炎症が生じることが知られています。脂肪細胞から分泌される生理活性物質(サイトカイン)はアディポサイトカイン(adipocytokine)※1と呼ばれており、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病への影響が懸念されています。肥大化した脂肪細胞はこのアディポサイトカインの分泌調節ができなくなり、炎症促進因子であるTNFα (tumor necrosis factor alpha)やインターロイキン6(IL-6)などが増加する一方で、炎症抑制因子であるアディポネクチン(adiponectin)などが減少し、炎症が促進されてしまいます※2。また、肥満体型の脂肪組織では免疫細胞であるマクロファージの浸潤(macrophage infiltration)が増加し、アディポサイトカインの分泌破綻が促進されていきます。 ジャワしょうがには、高脂肪食を摂取した時の脂肪細胞においてマクロファージの浸潤を抑制する効果があります。学習・記憶障害促進マウスであるSAMP8を普通食群(Con群)、高脂肪食群(0%Ba群)、高脂肪食+1%ジャワしょうがエキス粉末群(1%Ba群)、高脂肪食+2%ジャワしょうがエキス粉末群(2%Ba群)のグループに分け、精巣脂肪組織におけるマクロファージ浸潤数を計測したところ、0%Ba群に比べて2%Ba群は有意に減少しました※3。 c:0%Baに対してP<0.05 また別の試験では、ラットを普通食群(Con群)、高脂肪食群(HFD群)、高脂肪食+1.5%ジャワしょうがエキス粉末群(Ba群)、高脂肪食+1.5%ジャワしょうがエキス粉末+運動群(Ba+Ex群)、高脂肪食+運動群(Ex群)の5群に分けて、腓腹筋(gastrocnemius muscle)における炎症とインスリン抵抗性を促進する酵素のアイソザイムであるCOX-2を測定したところ、HFD群に対してBA群は減少傾向を示し、Ba+Ex群とEx群は有意に低下しました※4。 ※1 厚生労働省 eヘルスネット ※2 糖尿病 54, (7), 480-482 (2011) ※3 Journal of Food and Nutrition Research 9, 8, 434-441 (2021) ※4 Journal of Functional Foods 47, 554-561 (2018) << 前へ 次へ >> 作成日:2021年9月8日