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  6. ⑥アグロフォレストリーによるメリンジョの栽培

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1.メリンジョとは

⑥アグロフォレストリーによるメリンジョの栽培

森林の中で育つメリンジョ

1.ジャワしょうがとは ③自然と共存した栽培【栽培風景動画付き】でも記載していますが、当社は環境配慮型の農業を志向しています。昔ながらの言葉でいうと、アグロフォレストリー(Agroforestry)になります※1。国際アグロフォレストリー研究センター(ICRAF:現World Agroforestry)のWEBサイトには、アグロフォレストリーとは1970年代に生まれた言葉で、「Agroforestry is defined as ‘agriculture with trees’」(樹木と共存した農業)と定義されており※2、日本語では森林農法と呼ばれることが多いです。

森林の中で育つ樹木メリンジョは、インドネシアで広がるパーム畑のプランテーションのように、その植物のみを単一で育てる大規模な農園では栽培していません。その多くは自生であり、それに加えて接ぎ木などの方法で栽培しているメリンジョもあります。つまりメリンジョは、プランテーションとは真逆の環境で、様々な樹木が共存している自然の中で“他の樹木と一緒に育てさせてもらっている”という感覚で栽培しています。無理な栽培で土地に負荷をかけるのではなく、あくまで自然のキャパシティの範疇で育つ果実のおすそ分けを頂くような気持ちです。そのため、メリンジョの栽培には農薬も肥料も使用していません

メリンジョの苗木

メリンジョの苗木

メリンジョ農家の笑顔

農家の笑顔、これからメリンジョを収穫します

メリンジョの樹に登り収穫する農家

メリンジョの樹に登って収穫することもあります

アグロフォレストリーに関する国際的な研究機関であるICRAF は、2019年1月に国際森林研究センター(CIFOR)※3と合併しましたが、実はそのCIFORはインドネシアのBogor(ジャカルタから南へ約60㎞)に本部を置いています。インドネシアはブラジル・アマゾンに次ぐ規模の森林を要する国ですから、納得の理由ですね。

また、ICRAFのWEBサイトには、Benefits of Trees(樹木の利点)として、以下の様な特徴が挙げられています(日本語に翻訳しています)。

・大気中の炭素を吸収する
・地中深くから水と養分を取り込む
・地上と地下の生物多様性のための枠組みを提供する
・土壌有機物を生成し、土壌炭素を増加させる
・微気候(地表付近の気候)を調整する
・家畜に飼料と隠れ家を提供する
・多様な農業を実現する
・農業景観の回復力を高める
・気候の歴史を記録する

森林の中のメリンジョ

森の中で育つメリンジョ

「木を見て森を見ず」という言葉を聞いたことがない人はいないのではないでしょうか。物事を細分化してその細部に気を取られて、全体像を見失ってしまった状態を表していますが、現代は至る所でそのような状態に知らず知らずのうちに陥っていると感じることはないでしょうか。パーム農園のプランテーションの例では、我々人類がその生産時の背景まで意識せずに消費しているパーム油の生産効率ばかりを考えた結果、大規模な単一栽培に至っているのだと思います。農薬や除草剤を過剰に使用することでその土地の生態系にも大きな偏りが発生し、多様性は失われていきます。

医学の世界でも、そのような部分があるのではと感じる時があります。ある部位で病気になると体のネットワーク全体におよぶ歪みの原因まで思考を巡らせることをせずに、その部位を取り除いたり、ターゲットにした薬の投与をしたりしてきました※4。6.腸内細菌とグネチンC ②抗生物質の功罪でもご紹介していますが、特定の菌を抑えるための抗菌剤が他の腸内細菌までも根絶やしにすることで腸内細菌の生態系が破壊されるディスバイオシス(dysbiosis)が原因となり、過敏性腸症候群や自閉症などを患うこともあります※5。

ジャワ島の水田風景

ジャワ島の水田風景

それでは日本では、どのような方針で農業を営んでいこうとしているのでしょうか。2022年9月15日に農林水産省が、「環境負荷低減事業活動の促進及びその基盤の確立に関する基本的な方針」において、環境負荷低減事業活動の促進の目標として以下の様に掲げています※6。

・2030年までに化学農薬使用量(リスク換算)を10%低減
・2030年までに化学肥料使用量を20%低減
・2030年までに有機農業の取組面積を6.3万haに拡大
・2030年までに燃料燃焼による二酸化炭素排出量を10.6%削減
・2030年までに加温面積に占めるハイブリッド型園芸施設等の割合を50%に拡大

上記の目標を達するために、家畜排せつ物より得られる堆肥を活用した土壌改良、カバークロップ(緑肥)を用いるなどの手段により、化学農薬の使用減少を目指しています。これらはSDGsにつながる取組だと思いますが、当社はメリンジョの機能性を見出した2000年代から、環境や現地農家の生活の質(Quality of Life)改善を意識した原料調達を実践してきました。それはこれからも変わることのない、当社の方針になります。これからも現地の農家と相談しながら、農家のよりよい暮らしと当社の事業を共にアップデートしていきたいと思います。

※1 NPO法人JASMELINDO
※2 国際アグロフォレスト研究センター(World Agroforestry:ICRAF)
※3 国際森林研究センター(CIFOR)
※4 腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境 光文社新書
※5 あなたの体は9割が細菌 株式会社河出書房新社
※6 農林水産省 環境負荷低減事業活動の促進及びその基盤の確立に関する基本的な方針

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作成日:2022年11月2日