1. HOME
  2. 事業案内
  3. ヘルスケア
  4. メリンジョ
  5. 8.炎症とグネチンC
  6. ②メリンジョの抗炎症効果

ヘルスケア

機能性天然食品素材

8.炎症とグネチンC

②メリンジョの抗炎症効果

②メリンジョの抗炎症効果

歯周病は酸化ストレスによって引き起こされる慢性炎症の病態の一つですが、その酸化ストレスがROS(活性酸素種:Reactive Oxygen Species)として血液を通して全身に伝えられるとされています※1。メリンジョには、歯周病で発生する炎症性サイトカインを抑制する効果があります。

ラットを用いた試験では、コントロール群(C群)、結紮(糸で歯を結ぶ)により誘発させた歯周病誘発群(P群)、歯周病誘発+メリンジョエキス(P+R群)の3グループに各6匹と分けて3週間飼育、メリンジョエキスの投与量は経口投与にて10mg/kgとし、炎症性サイトカインなどの発現量を測定しました。歯ぐき細胞を採取し分析した結果、炎症性サイトカインであるインターロイキン-1β(IL-1β)、インターロイキン‐6(IL-6)および腫瘍壊死因子(TNF-α)のmRNAはC群に対してP群は著しく増加しましたが、メリンジョエキスを摂取したP+R群は、P群に対して大幅に減少していました※1。

また血中の炎症性サイトカインについても測定した結果、TNF-αはC群に対してP群は有意に増加し、P群に対してメリンジョエキスを摂取したP+R群は有意に減少しており、IL-1βおよびIL-6についても同様の傾向が見られました※1。歯周病については、「10.歯周病とグネチンC」のページで詳しくご紹介致します。

歯周病の変移イメージ図 8.炎症とグネチンC

ヒト試験にて健常人の血液から採取した免疫細胞を用いたin vitro試験において、炎症性サイトカイン誘導物質であるPHAによりインターフェロン-γ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子(TNF-α)、グランザイムB(GZMB)を誘導させ、メリンジョエキスを添加し培養したところ、濃度依存的にこれら炎症性サイトカインが減少しました。また健常人(34~42歳の男女5人)の血液においても、メリンジョエキスの摂取によりGZMBが検出限界に近い程度まで産生を抑制する傾向がみられました※2。

肥満になると脂肪細胞(adipocyte)が肥大化し、脂肪細胞が産生するサイトカインであるアディポサイトカインの産生が適切に機能しなくなり、炎症性サイトカインであるTNFαなどが増加する一方で、抗炎症性サイトカインであるアディポネクチン(adiponectin)が減少し、炎症が慢性化して肥満をさらに促進していきます。

脂肪細胞が産生するアディポサイトカイン 8.炎症とグネチンC

脂肪細胞が産生するサイトカインであるアディポサイトカイン

炎症を抑制するアディポネクチンは血中では3量体、6量体、多量体の形で循環していますが、その中でも特に多量体の減少が肥満や代謝異常に影響します※3。メリンジョは、健常人においてアディポネクチンの多量体化を増加させる効果があります。

共分散構造分析(Structural Equation Modeling)を用いた統計解析では、メリンジョ摂取によりアディポネクチン多量体化を調節する遺伝子(AMPK、FoxO1、PPARγ)経由でDsbA-Lを活性化させ、アディポネクチンを活性化させると考えられます※4。それにより糖・脂質代謝の改善、インスリン抵抗性の改善、炎症性サイトカインであるTNF-αなどを抑制し、慢性炎症を抑制していくことが期待されます。

生体内ではDsbA-L遺伝子がアディポネクチンの多量体化を促進させます。メリンジョ種子エキス粉末300㎎/日の摂取より、このDsbA-L遺伝子発現が弱いDsbA-LのG/TタイプとT/Tタイプの被験者の多量体化を増加させることで、二重盲検ランダム化比較試験において有意にアディポネクチンの多量体化を増加させました※4。

さらに、高脂肪食を摂取しているマウスにメリンジョエキス粉末を与えると1000㎎/kg/dayで体重、空腹時血糖値、精巣脂肪、皮下脂肪の増加を有意に抑制しました。また、肝臓では差はありませんでしたが、高脂肪食摂取時に筋組織において活性が減少する遺伝子で、脂肪代謝を調節するPGC-1α、PPARα、SREBP1cを有意に増加させて回復させました。さらに、脂肪量あたりの総アディポネクチン量とアディポネクチン多量体量は有意に増加しました※4。

骨格筋は脂肪酸をエネルギーとして使用する組織であり、その骨格筋にて脂肪酸代謝を正常に保つ効果は、抗炎症効果にもつながります。

マウスを用いた他の試験でもメリンジョの抗炎症効果に関するデータがあります。高脂肪食を摂取したマウスのグループ(HFD群)は体重、体重当たりの脂肪量(鼠径部白色脂肪組織(iWAT)、生殖部白色脂肪組織(gWAT))、肝臓トリグリセリド、インスリン抵抗性が増加しますが、高脂肪食+メリンジョエキス粉末のグループ(MSE群)はHFD群に対してこれらの数値が有意に減少しました。同時に、褐色脂肪組織(BAT)においてミトコンドリアの熱産生に関わるUCP1およびエネルギー(ATP)産生に関わるCOX4のタンパク量を有意に増加させました※5。

3種の脂肪細胞 8.炎症とグネチンC

3種の脂肪細胞(白色、ベージュ、褐色)

これはミトコンドリアを活性化して熱産生およびエネルギー代謝を促進、基礎代謝を上げることになり、その影響で脂肪細胞の炎症を抑制すると考えられます。実際に慢性炎症を促すマクロファージ浸潤は炎症性サイトカインにより誘発されますが、褐色脂肪組織において炎症性サイトカインであるMcp1のmRNA発現量はHFD群に対してMSE群は有意に減少し、鼠径部白色脂肪組織においてもMcp1、IL-1βが有意に減少し、TNF-αおよびIL-6でも同様の傾向を示しました。ただ、褐色脂肪組織においてIL-6は有意に増加していました※5。

IL-6については、炎症性サイトカインのみでなく他の機能もあると考えられます。8.筋肉とバングレン ③バングレンのマイオカイン産生増加効果でも記載していますが、IL-6には筋肉から産生されるサイトカインである「マイオカン」としての働きもあり、筋組織においてグルコースの取り込みを促進する効果があります。サイトカインの複雑なシステムを明らかにするには、さらなる研究が求められます。

ミトコンドリアは細胞内に存在する小器官で、糖や脂肪を原料に運動などの活動に使用するエネルギーであるATPを産生したり、熱産生して基礎代謝を上げるなどの機能を有しています。詳しくは、8.筋肉とバングレン ④バングレンによる疑似的な運動効果をご覧ください。

※1 Free Rad. Bio. & Med. 75, 222-229 (2014)
※2 Integr. Mol. Med. 2, (6) 405-413 (2015)
※3 Best Pract. Res. Clin. Endocrinol Metab. 28, (1), 25-31 (2014)
※4 Scientific Reports 10, 4313 (2020)
※5 Nutrition Reseach 58, 17-25 (2018)

<< 前へ     次へ >>

作成日:2021年10月5日