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メリンジョ

グネチンCは、NAD+とエネルギー代謝を標的とすることで、ダロルタミド耐性前立腺がん細胞の感受性を高めます

メリンジョ(Melinjo)

メリンジョ由来成分の生理活性に関する論文について紹介します。

■タイトル
Gnetin C sensitizes darolutamide-resistant prostate cancer cells by targeting NAD+and energy metabolism

■学術ジャーナル
Biochemical and Biophysical Research Communications 770, 152009 (2025)

■論文公開日
2025.5.14

■概要
(アンドロゲン受容体阻害剤で前立腺がん薬である)ダロルタミドを含めて、アンドロゲン受容体標的療法に対する耐性は、去勢抵抗性前立腺がん治療における主要な課題の一つです。代謝適応、特にNAD代謝の異常とエネルギー経路の変化は治療抵抗性に関与していると考えられています。本研究では、メリンジョ(Gnetum gnemon)由来のレスベラトロール二量体であるグネチンCが、前立腺がん細胞におけるダロルタミド耐性を克服できるかどうかを調査しました。近年確立されたダロルタミド耐性22Rv1細胞株(ヒト由来前立腺がん細胞)は、NAD代謝の抑制、NAD/NADH比の低下、および解糖系と酸化リン酸化の両方の同時阻害を特徴とする代謝的に静止した表現型を示しました。グネチンCは、親細胞株およびダロルタミド耐性22Rv1細胞株の両方で強い抗がん活性を示しました。ダロルタミド耐性22Rv1細胞株において、グネチンCはNMNAT2の発現を低下させることで細胞内NADの枯渇を引き起こし、さらにミトコンドリアの主要なタンパク質の発現を抑制することでミトコンドリア機能障害を引き起こしました。さらにグネチンCはDrp1の発現を低下させ、Mitofusin-2の発現を上昇させ、ミトコンドリア動態における役割を示唆し、そして解糖酵素と解糖活性を抑制しました。注目すべきことにグネチンCは、ミトコンドリア由来の総酸素活性種(ROS)の産生増加およびアポトーシスの誘導を伴いながら、ダロルタミド耐性22Rv1細胞株におけるダロルタミド感受性を著しく高めました。これらの結果は、グネチンCは去勢抵抗性前立腺がんにおける薬剤耐性を代謝障害を通して克服する有望な候補であることを示しています。

 

素材に関する説明は、下記のページにてご覧頂けます。紹介動画もご用意していますので、ぜひご覧ください。

インドネシア原産の樹木”メリンジョ”

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