インドネシア産しょうが 「バングレ」から抽出したバングレンのPorphyromonas gingivalisに対する抗菌活性

ジャワしょうが(バングレ)由来成分の生理活性に関する論文について紹介します。
■学術ジャーナル
Int. J. Mol. Sci. 26, (5) 1787 (2025)
■論文公開日
2025.2.20
■概要
歯周炎は成人の生活習慣に関連した最も一般的な疾患の一つであり、歯周ポケット内でPorphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)などの口腔内細菌によってデンタルプラークと呼ばれるバイオフィルムが形成されることによって引き起こされます。(インドネシアのしょうが:Zingiber purpureum Rosc.である)バングレはインドネシア原産の植物で、東南アジア全域で伝統的に食用や薬用として食されてきました。バングレの根茎に含まれる成分であるc-およびt-バングレンは、神経栄養活性を有することが報告されています。バングレのヘキサンエキスは、P. gingivalisに対して抗菌活性を示し、最小阻害濃度(MIC)は8μg/mLでした。我々はヘキサンエキスのバイオアッセイ誘導単離により、活性画分から数種の化合物を単離しました。さらにc-およびt-バングレンは4μg/mLでP. gingivalisの増殖を阻害することを見出したが、これらの化合物は口腔内微生物に対して抗菌作用を示しませんでした。またc-およびt-バングレンはバイオフィルム形成を47%および40%抑制しました。以上の結果より、バングレンは歯周病原体であるP. gingivalisに対して特異的な抗菌作用を示し、口腔内微生物への影響は少ないことが示唆されました。したがって、バングレンは(ディスバイオシス等の)微生物の置き換わりリスクを伴わずに、歯周炎の予防に応用できる可能性があります。
素材に関する説明は、下記のページにてご覧頂けます。紹介動画もご用意していますので、ぜひご覧ください。