ネットワーク薬理学と分子ドッキングによるGPCR関連がん治療薬としてのGnetum gnemonの生理活性成分のメカニズム解明

メリンジョ由来成分の生理活性に関する論文について紹介します。
■学術ジャーナル
Scientific Reports 14, 25738 (2024)
■論文公開日
2024.10.28
■概要
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は、特にがん治療における創薬標的として注目されている膜タンパク質です。本研究では、GPCRを標的とした医薬品の開発に向けて、Gnetum gnemon(メリンジョ)由来の生理活性化合物のがん治療における可能性を探索しました。基礎となる薬理学的メカニズムを同定し検証するために、統合的アプローチでネットワーク薬理学と分子ドッキングを組み合わせました。メリンジョ由来化合物およびGPCR関連がんの標的をデータベースから検索しました。その後、共有ターゲットをマッピングすることでタンパク質間相互作用(PPI)ネットワークを構築しました。遺伝子オントロジーとKEGGパスウェイ解析を用いて、これらの標的の作用機序を予測しました。得られた知見を検証するために分子ドッキングを行いました。我々はGPCRに関連したがんの治療のために、メリンジョ由来の生物活性化合物に関連する合計265のターゲットを同定しました。機能的エンリッチメント解析により、これらの標的がGPCRに関連するがん経路に対して有望な治療効果を示すことが明らかになりました。PPIネットワーク解析により、MAPK3、SRC、EGFR、STAT3、ESR1、MTOR、CCND1、PPARGなどのハブターゲットが同定され、メリンジョ由来化合物を用いたGPCR関連がんの治療ターゲットとして実証されました。さらに分子ドッキング実験により、グネチンA、グネチンC、(-)-ビニフェリン、レスベラトロール二量体の強い結合親和性が示され、MAPK3、SRC、EGFR、MTORを阻害します。生存解析により、同定されたハブ遺伝子のがんにおける臨床的予後との関連性が確立されました。本研究は、メリンジョ由来の活性化合物の治療メカニズムを理解するための新たなアプローチを提示し、それによってがん治療分野における臨床応用への道を拓くものです。
素材に関する説明は、下記のページにてご覧頂けます。紹介動画もご用意していますので、ぜひご覧ください。