グネチンCはTLR3シグナル経路を抑制することにより、二本鎖RNAによるCCL2およびCCL5産生を抑制する
メリンジョ由来成分の生理活性に関する論文について紹介します。
■学術ジャーナル
Biomedical Research (Tokyo) 39, (5) 231-240 (2018)
■論文公開日
2018.10.1
■概要
生体に備わっている自然免疫系は生体防御能力の必須条件だが、その制御異常は炎症性疾患や自己免疫疾患の原因となりえます。脳内の炎症反応を安全に制御する方法を検討するために、我々は天然レスベラトロール二量体であるグネチンCの効果を、(ウィルスRNAの代わりとして)TLR3のリガンドで合成二本鎖RNAアナログであるPoly IC 30 μg/mLで処理した後に、培養ヒト星細胞腫 U373MG 細胞および神経芽細胞腫 SH-SY5Y 細胞において観察された走化性サイトカインであるケモカインの CCL2 および CCL5 の産生量に注目して調べました。培地にグネチン C(10μM)を添加すると、両細胞においてCCL2産生が中程度に減少し、CCL5産生が顕著に抑制されました。CCL2およびCCL5産生を媒介するTLR3ーインターフェロン-βーリン酸化STAT1ーRIG-I経路において、グネチンCはSH-SY5Y細胞ではまずインターフェロン-β発現を、U373MG細胞では主にSTAT1リン酸化を抑制していることが確認されました。いずれにせよグネチンCは、CCL2およびCCL5産生をもたらす二本鎖RNAにより活性化されたTLR3シグナルを抑制したことから、TLR3を介した脳内炎症の制御に有用である可能性が示されました。
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