アルツハイマー病モデル動物における天然スチルベンの効果
メリンジョ由来成分の生理活性に関する論文について紹介します。
■タイトル
Natural stilbenes effects in animal models of Alzheimer’s disease
■学術ジャーナル
Neural Regeneration Research 15, (5) 843-849 (2020)
■論文公開日
2019.11.8
■概要
アルツハイマー病は最も発症しやすい神経変性疾患の一つです。アルツハイマー病の病態は、主にアミロイドペプチドとタウからなるタンパク質凝集体によって特徴づけられ、神経細胞死と認知機能障害を引き起こします。現在この病態を治療するために提案されている薬は、神経変性の進行を防ぐものではなく対症療法が主体となっています。しかし複数の薬理作用を示すスチルベンは、潜在的な治療薬の候補となり得ます。本総論の目的は、このテーマに関する幅広い文献の中からアルツハイマー病の動物モデルにおけるスチルベン(レスベラトロール誘導体)の有益な効果に関するより重要な論文を集めることです。実際のところ、多くの研究が細胞モデルに焦点を当てているが、動物(一般にマウスやラット)ではin vitroの研究とは異なり、バイオアベイラビリティ(薬が体内にどのようにいきわたり効果を発揮するかおよびその利用効率)と代謝が考慮されるため、in vivoのアプローチは依然として第一の重要性を持っています。さらに動物モデルでは記憶能力の検査が可能であり、それはヒトにおける将来の治療を視野に入れた化合物の関連性を深めていきます。この論文は、未試験の天然スチルベンを試験する必要がある研究者や、大型動物やヒトで最も効果的な天然スチルベンを実験したいと考えている研究者に向けたものです。この総論では代表的なポリフェノールであるレスベラトロールは広く研究されており、アミロイド斑や認知障害に対して興味深い特性を持っている可能性があることが示されています。その一方、グネチンC、トランスピセイドおよびアストリンギンのようないくつかのレスベラトロール誘導体は動物実験が行われていません。さらにプテロスチルベンは認知障害の改善と神経保護作用があることから特に注目されています。この分子を臨床試験で評価することは適切であると考えられます。
素材に関する説明は、下記のページにてご覧頂けます。紹介動画もご用意していますので、ぜひご覧ください。